エヌ氏の遊園地

星新一大好きです|д゚)

あかとびら

長い長い路地を進んでいくと 目の前には我の強いあかいとびらがあった それは暗い路地から見つめているとかくも魅惑的であり そちらのほうにふらりふらりと歩いて行ってしまう 光によって行く虫のように カレーの香りにつられる部活帰りの少年たちのように …

かんらん

観覧車がキィキィと音を立てたような気がした 遠目から見ていると、少し一瞥しただけだと まるで動いていないかのように錯覚するそれは じぃっと眺めていると ゆっくりとではあるが確実に動いている その動きは、まるで僕の在り方を肯定してくれているかのよ…

ゆうぐれ

日は落ちて、世界を鮮やかに染めていく それは春や夏では見ることのできない強烈な色であり 寒さを我慢してでも見る価値のある宝石のようなものである 僕は爽やかだった夏が去るのを悲しく思いながらも どこか秋の訪れを好ましく思っているのである もちろん…